溶接機のススメ 

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2023年1月30日
溶接機のススメ

我々の生活は、様々な場面で鉄の恩恵を受けている。
木材を中心に建設された家屋でさえ、鉄は使われている。
その鉄と鉄を繋ぎ合わせる溶接技術は生活の中で我々に繁栄をもたらしてくれている。
その溶接技術に必須とも言えるのが溶接機だ。
溶接機には様々な種類があり、それぞれに特徴を兼ね備えている。
今日はそんな溶接機について触れていこうと思う。

 

1.溶接機の種類

溶接は「融接」「圧接」「ろう接」の3つに大別されるが、さらに細分化された数多くの溶接法がある。
溶接する材料の材質、溶接後の製品に求められる機能等によって、最適な溶接法を使い分ける必要があるためだ。

アーク溶接機

アーク溶接機アーク溶接機
アーク放電を熱源として溶接を行う溶接機。
ガスを使用しない、風の影響を受けることがなく、屋外での使用や細かい箇所の溶接に適しているので、
現場においてもっとも使用されている。
コンパクトな設計のものも多く、狭い箇所での使用にも便利。
また、直流インバータ溶接機、交流アーク溶接機、ノンガス半自動溶接機の3種類あり、
それぞれに機能や特徴がある為、使用する際は用途に合わせて変える必要がある。
なお、デメリットは溶接した箇所がきれいに仕上がらない為、
きれいに仕上げたい場合は使用は控えるべき。

アークとは

アークの説明

通常、電流は金属などの導体内を流れていくが、
電極間に隙間があっても電流が十分大きければ空気中を電流が流れていく事がある。
これをアーク放電と言い、この現象を利用した溶接方法をアーク溶接と呼ぶ。
身近な例では雷や通電中のコンセントを抜いた時に発生するスパークなどが挙げらる。

 

半自動溶接機

半自動溶接機
半自動溶接機は本体に収められた溶接ワイヤーがトーチの先から自動で供給される為、自動と名称についている。
“半”自動なのは溶接は手動になる為、半自動となっている。
他の溶接機と違って溶接棒を持っての溶接では無い為、初心者でも扱いやすいのが特徴。
能率が良く、作業時間を短縮することができる為、プロの現場でも人気がある。
半自動溶接機の中でも溶接方法は3種存在する。

 

・MIG溶接機

MIG溶接機MIG溶接機
Metal Inert Gas(メタル・イナート・ガス)の略。
MIG溶接に使われているシールドガスは、不活性ガスのアルゴンやヘリウムなどが用いられる。
また、活性ガスが用いられる場合はMAG溶接になる。

 

 

・MAG溶接機

MAG溶接機MAG溶接機
Metal Active Gas(メタル・アクティブ・ガス)の略。
MAG溶接機はシールドガスに混合ガス(アルゴンガス80%・炭酸ガス20%)を用いている。
MAG溶接は、筐体の小部品同士の溶接や筐体本体の溶接など、ほぼすべての部位に使用される、
半溶接の高い溶接方法。
シールドガスに炭酸ガスのみを使用する場合はCO2溶接になる為、切換えで使えるMAG溶接機が多くある。

 

・CO2溶接機

二酸化炭素を使用したアーク溶接
「炭酸ガスアーク溶接」とも呼ばれる。
シールドガスは、溶融金属が酸化するのを防止するために使用されるガスのことを意味します。

 

TIG溶接機

TIG溶接機TIG溶接機
Tungsten Inert Gas の略。
TIG溶接は手作業で行われる溶接法。
熱に強いタングステンを電極にして、その周囲から不活性ガス(アルゴンガス)を噴出させて、
溶接部分を無酸素状態にし、溶接棒を横から差しいれて溶接を行う。
また、ものによってはオプションで供給機があるものがある。
古いものは送給モーターを回転させる制御回路がそもそも組み込まれていない為、送給装置を接続するコネクタがない。
TIG溶接機をしようしていて使いにくさを感じるている方は、是非一度確認してみてほしい。

 

エンジンウェルダー

エンジンウェルダーディーゼル溶接機
「発電機のススメ」でもご紹介した、発電機兼用溶接機。
「エンジン式溶接機」や「ディーゼル溶接機」とも言われている。
発電機がメインではなく、主に溶接目的で使用されている。
鉄やステンレスなどの溶接を現場でしなければならないときに搬入されている。
大規模修繕では、鋼製の外部階段や手摺、駐輪場、他にステンレス製品の補修などで使われているが、
工場内に比べ、外では風の影響が強いため、
施工不良を起こさない工夫が必要となる為、使用前には良く現場を知っておく必要がある。
また、大型のエンジンウェルダーにはシングルとダブルがある。
2人で同じタイミングで溶接が出来るのはかなりのメリットだ。
200Vの電源が取れることもあり、大型のウェルダーを重宝される方もいらっしゃることだろう。

 

プラズマ切断機

プラズマ切断機プラズマ切断機
プラズマにより素材を焼き切って切断する機械。
溶断機とも言われている。
プラズマ切断機で切断が可能な素材は、電気が通るものに限られるが、
電気が通る素材ならば、厚みのある素材でも切断が可能。
他の切断加工では難しい素材でも、プラズマ切断機を使えば加工が可能である。
細かい加工の方法は、プラズマ切断機のなかでも種類によって異なる。

 

・エアプラズマ切断機
プラズマで素材を溶かしつつエアーの勢いで切断する切断機。
プラズマ切断機のなかでは比較的新しい種類ではあるものの、高い利便性のため広く用いられている。
もちろん電気を通す素材であれば切断可能で、滑らかな曲線の切断に適していることも特徴。

 

・窒素プラズマ切断機
プラズマガスに窒素ガスを使用する切断機。
古くから用いられているプラズマ切断機であり、材質の性質に関係なく加工できることが強み。
しかし、切断面が乱れやすかったり、環境に悪影響と考えられている為、昨今では使用されなくなってきている。

 

・酸素プラズマ切断機
酸素ガスをプラズマガスとして活用し素材を切断する切断機。
酸化する素材に用いればエネルギーが増える為、よりスムーズに切断が可能。
ちなみに、酸化しない素材に酸素プラズマ切断機を用いても切断スピードは早まらないので注意。

 

・アルゴン・水素プラズマ切断機
アルゴンガスや水素ガスをプラズマガスとして用いる切断機。
非鉄金属の加工に適した切断機であり、ステンレスなどの材質の切断に重宝されている。
水素ガスをプラズマガスとして使用すると還元効果により材質の酸化を抑え、質を落とさずに加工が出来る。
また、アルゴンガスや水素ガスに加えて窒素ガスを一緒に用いる場合がある。

 

ガス溶接機

ガス溶接機ガス溶接機
ガス溶接は、可燃性ガスと酸素が結び付いて燃焼する際に発生する熱を利用して、金属など材料の溶接を行う。
このとき使用される可燃性ガスは、アセチレン、水素、LPガス、メタン、石炭ガス、都市ガスが挙げられるが、
溶接を行う際は、可燃性ガスと酸素で発生した熱を材料の接合部に当てて溶融させた後、
固定して冷却させると材料同士が結合するというのが仕組みである。
ガス溶接はアーク溶接よりも火花が散りにくく接合部が見やすいため、ミスが起こりにくいことがメリットだ。
また、ガス溶接は溶接温度が低い為、薄い材料や溶けやすい材料の溶接に適している。

 

2.溶接を体験してみて

実は最近筆者は人生で初めての溶接体験をした。
エンジンウェルダーでアーク溶接を体験したのだが、やはり難しいかった・・・
溶接棒を当てているのにまともに付かないどころか、トーチが反応しない。
溶接棒を溶接対象に押し当ててしまったり、トーチが反応しても火花に臆してしまい溶接棒を離してしまったり・・・
散々な結果だった。
また、溶接最中に溶接面の遮光ガラスがとても見づらく、危うく全く違う場所へ溶接するところだったのは肝を冷やした。
長年やり慣れている方なら、そんな事絶対起きないだろうと思われてしまうかもしれないが、
初めて体験ではあるえる事なのだと感じる。
遮光ガラス自体使い慣れている方なら面を被るタイミングもお分かりかと思うが、初心者な僕は最初から最後まで被りっぱなしだったのである。
こうしたツールの使い方も知らない方が溶接体験をする場合、同じような事が起きうると思う。
もう少し見やすい遮光ガラスは無いのかと思っていたが、遮光ガラスが無い場合の溶接光が及ぼす、人体への影響を考えるとそんな事は言っていられない。
まだまだ、溶接面との付き合い方を学んでいく必要があるようだ。

今回溶接を知り、体験することで「生活の豊かさはこのおかげでもあるんだ」と、実感することが出来た。
次の体験する機会があった際には、是非物作り挑戦してみたいと思う。
溶接技術を用いて物を作る事で、今回感じた事以上の何かを感じられる気がする。

 

3.まとめ

様々な種類とそれぞれの特徴。
ここまで多種多様な溶接機をご紹介してきたが、やはり筆者も体験して強く思ったのが、
用途に合い、自分にとっても扱いやすい溶接機を是非チョイスいて頂きたい。
筆者は半自動溶接機が良いと思ったのだが、もちろん手動での溶接の方が好みの方もいらっしゃるだろう。
そういった相性も含めて、是非無限堂へ相談してみてはいかがだろうか。

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